毛沢東 最後の革命 下

著者 ロデリック・マクファーカー /マイケル・シェーンハルス
訳者 朝倉和子

  • 2010年 12月22日発売
  • 46判、並製、439ページ
  • 定価 3,800円+税
  • ジャンル[国際問題・海外事情]
  • ISBNコード 978-4-86228-046-6

<毛沢東と周恩来の関係は実際にはどのようなものであったのか>
                          ― 天児慧(早稲田大学教授)

もう一つの極めて興味深かった点は周恩来というアクターの行動とその評価である。従来の文革に関わるいくつかの研究書では、毛沢東の暴走に対して、一見忠誠をつくしながら実質的には巧みに老幹部や優秀な幹部、さらには貴重な史跡などを保護し文革の被害を最小限に食い止めようと努力したのが周恩来といった見方がなされてきた。
しかし本書では「毛沢東と周恩来を、(中略)一人が間違っており、もう一人が正しいという風に切り離すことはできない」と従来の見方を一掃している。「毛は周が自分に絶対に服従するという確信を持ってか、毛自身のかなり重大な本音を幾つかの重要な段階で語っている」ことを紹介している。
周の文革における毛への忠誠ぶりは、逆に言うなら自分の生き残りのためには、これまで考え方や方法がかなり近かった彭真、鄧小平、劉少奇らをも守らなかったという態度に表れている。

著作者について

ロデリック・マクファーカー

現在、ハーバード大学教授、ハーバード大学J・K・フェアバンク・センター前所長。中国現代史専攻。
1930年生まれ、ジャーナリスト、英国下院議員(労働党)を経る。
著書 The Origins of the Cultural Revolution(全3巻)ほか多数

マイケル・シェーンハルス

現在、ルンド大学教授(スウェーデン)中国現代史専攻。
1953年生まれ、ブリティッシュ・コロンビア大学客員教授等を経る。
著書 Talk about a Revolution:Red guards,Government Cadres and the Language of Political Discourseほか
訳者
朝倉和子
ピアニスト、翻訳家(SWET会員)。訳書にブラッドレー・マーティン『北朝鮮「偉大な愛」の幻』(青灯社2007、2007年アジア・太平洋賞特別賞受賞)。
訳書 チャールズ・ローゼン『ピアノ・ノート』(みすず書房2009)。片栁和子として、ティモシー・モー『香港の起源2』(みすず書房2001)、リン・パン『華人の歴史』(みすず書房1995)など
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