アラサー世代のこころの歪み ―ポスト青年期の新しい患者さんたち
著者 川原健資(かわはら・けんし)
- 2009年12月24日発売
- 46判、並製、245ページ
- 定価 1,800円+税
- ジャンル[心理・心療内科]
- ISBNコード 978-4-86228-038-1
アラサー世代の異変― 心療内科クリニックから
20代、30代のポスト青年期のこころに、いま異変が起きている。自己不全感や倦怠をかかえ、症状の理解しにくい、診断や治療に悩むケースの増加。パニック障害、うつ、過敏性腸症候群、身体化障害、摂食障害、境界性パーソナリティ障害、発達障害等々。
21世紀と同時に青年期に突入したアラサー世代に何がおこっているのか?
背景には、自己愛の肥大やパーソナリティの未熟が共通してみられるが、心療内科クリニックを訪れるアラサー世代の目立ったケースに焦点をあて、心療内科の名医である著者が、臨床経験にもとづく診断、診たて、背景、対応策を考える。
この新しい病いに苦しむ患者さんやそれを支える周囲の人たちに暖かい光と助言を贈る、かけがえのない一冊。
著作者について
川原健資(かわはら・けんし) 1962年生まれ。
現在、医療法人社団佑希会理事長、のぞみクリニック院長。
1987年、新潟大学医学部卒業。東京女子医科大学附属第2病院内科、東京大学医学部心療内科、関東医療少年院、 横浜労災病院心療内科等を経て、2001年4月、のぞみクリニック開設。専門は心身医学、産業精神保健。
共著書『一般内科医のための「こころのケア」対応集』(メディカルビュー)『セルフ・エフィカシーの心理学』(北大路書房)『ストレス時代のこころのケア』(保健同人社)『よくわかる心療内科』(金原出版)他。
目次
はじめに
序 ようこそ心療内科クリニックへ—
一 患者さんの近ごろの特徴
1 ポスト青年期とは
2 ポスト青年期の事例化するケースの特徴
(1)思春期・青年期の課題の持ち越し
(2)職場や家庭では総合的な能力が期待され、負荷がかかる
(3)ケースの素描 (4)発達障害という視点
二 心療内科とは
1 心療内科と精神科
2 ストレスがこころとからだの健康障害を発症させるまでのプロセス
(1)ストレッサー(ストレス) (2)緩衝要因
(3)個体の要因
3 ストレス反応の現れ方
4 診断することと診たてをすること
5 操作的診断基準
(1)症候群的診断 (2)多軸診断
Ⅰ ポスト青年期の患者さんたち—
一 主にこころの症状が表れる場合
1 不安が関係する病態
(1)パニック障害
2 うつが関係する病態
(1)うつ病について (2)メランコリー親和型(いわゆる内因性)うつ病
(3)適応障害(抑うつ気分を伴うもの、いわゆる「出社困難」)
(4)現代型うつ病(ディスチミア親和型うつ病)
二 主にからだの症状が表れる場合
1 過敏性腸症候群(心身症)
2 身体表現性障害
(1)身体化障害
三 主に行動の問題が表れる場合
1 神経性食欲不振症(むちゃ食い/排出型)
2 境界性(ボーダーライン)パーソナリティ障害
四 発達障害という視点
1 アスペルガー障害(広汎性発達障害)
Ⅱ 診たてのポイント—
1 身体因
2 いわゆる「内因」
3 知的水準
4 発達障害
5 パーソナリティの病理
6 環境因、状況因
7 心身相関
(1)身体化 (2)アレキシサイミア
8 否認
9 ストレス対処(コーピング)
10 社会的機能
11 診たての整理と理解の仕方
(1)心理テスト (2)診たてをすること
Ⅲ ポスト青年期の患者さんが増えている—
一 患者数増加の要因
1 社会・文化的な背景
2 労働環境の変化
3 家庭のありようの変化
4 メンタルヘルスの盛んな啓蒙
二 どのような特徴の患者さんが増えているか
1 ストレス耐性の低下
2 パーソナリティの脆弱性
3 自己愛の病理
4 衝動コントロールの低下と行動化
5 回避・逃避の機制
6 防衛機制としての否認
7 身体化
8 疾病逃避・疾病利得
9 依存性
10 外的統制、外罰性
11 操作
12 模倣・流行
13 ストレス対処(コーピング)能力の低下
14 解離現象
15 感覚閾値の低下
Ⅳ 問題解決のためのヒント—
1 ダウンしないために日常生活に取り入れてみる
2 ストレス耐性を高める方法――ものの見方(認知)を変えてみる
(1)認知とは (2)認知の歪みがある場合の具体例
(3)認知の歪み (4)認知の歪みに取り組むために
3 自分の対処行動を見直してみる
おわりに
参考文献
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