北朝鮮 「偉大な愛」の幻 (上)
金日成の作品、北朝鮮国家とは何か
卓越した米国のジャーナリストが、金日成と北朝鮮国家にまつわる多くの謎を解く。金日成の満州やソ連領における抗日ゲリラ活動の真相とは? 魅力的な青年リーダーから巨大化する個人崇拝へと、いかにして変貌をとげたのか。ソ連からの干渉と決別、チュチェ思想誕生の経緯。50年代後半に韓国を上回った経済発展が70年代に逆転したのはなぜか。北朝鮮の闇、金父子の私生活の実態――。ぼう大な資史料を徹底検証し、亡命者たちの証言を吟味して明かす北朝鮮の内幕。
上巻目次
- 日本の読者へ
- プロローグ
- はたして楽園か――始めての北朝鮮本文(一九七九年)
- 抗日戦士と賛美歌――若き日の金日成
- 吹雪の長征――ゲリラ時代の金日成(一九三〇年代)
- 魅力的な青年リーダー――金日成(一九四〇年代)
- 命拾いした金日成――朝鮮戦争
- 楽園を開いた指導者とともに――金日成(一九五〇年代)
- ソ連とたもとを分かつ――金日成(一九六〇年代)
- 偉大な愛が花開く――一九七〇年代の北朝鮮外交
- 計画経済の偉業――北朝鮮の発展(一九七九年)
- 待機する女性たち――金一族
- 王子さま――若き日の金正日
- 出身が決める運命――北朝鮮人として育つ
- 金正日の文化革命――「忠誠の道」に導く
- 壁に耳あり――国内スパイ網
- ライバルの追放――金正日、後継者に指名される
- 体制批判――強制収容所へ
- 特閣接待員――女たちの夢の生活
- 映画監督と女優の拉致――金正日の奇妙な優先順位
著作者について
ブラッドレー・マーティン Bradley K.Martin
1942年生まれ。ジャーナリストとして朝鮮半島や他のアジア地域を四半世紀以上、カバーする。「バルティモア・サン」,「アジアン・ウォールストリート・ジャーナル」,「ニューズウィーク」,「アジア・タイムズ」の記者を経る。現在は「ブルームバーグ・ニュース」の東京駐在特派員。本書の英語版は13年をかけて書かれ、米国内外で大きな反響をよぶ。
朝倉和子(あさくら・かずこ)
翻訳家、バー・ピアニスト。筑波大学付属高校卒業、東京都立大学人文学部史学科中退。訳書に『華人の歴史』(リン・バン著)『香港の起源2』(ティモシー・モー著、以上みすず書房)『CIA株式会社』(フレッド・ラストマン著、毎日新聞社)『チャイニーズ・ジレンマ』(イエリンシェン著、明石書房)他