毛沢東 最後の革命 下 12月22日発売

 <毛沢東と周恩来の関係は実際にはどのようなものであったのか>

もう一つの極めて興味深かった点は周恩来というアクターの行動とその評価である。従来の文革に関わるいくつかの研究書では、毛沢東の暴走に対して、一見忠誠をつくしながら実質的には巧みに老幹部や優秀な幹部、さらには貴重な史跡などを保護し文革の被害を最小限に食い止めようと努力したのが周恩来といった見方がなされてきた。
しかし本書では「毛沢東と周恩来を、(中略)一人が間違っており、もう一人が正しいという風に切り離すことはできない」と従来の見方を一掃している。「毛は周が自分に絶対に服従するという確信を持ってか、毛自身のかなり重大な本音を幾つかの重要な段階で語っている」ことを紹介している。
周の文革における毛への忠誠ぶりは、逆に言うなら自分の生き残りのためには、これまで考え方や方法がかなり近かった彭真、鄧小平、劉少奇らをも守らなかったという態度に表れている。