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Seitosha Publishing

2018年10月のエントリー 一覧

副題:あなたに伝えたい7つの理由
血圧.png著者:岡田正彦
ISBN:978-4-86228-100-5 C0047
定価1300円+税 224ページ
ジャンル[健康・医療]
発売日:2018年10月23日


紹介
"高血圧の人は薬を飲むべきか?"──国内外の最新データがついに示した決着!

血圧の薬を飲み続けても、寿命は延びない。
いま飲んでいる人はどうすればよいか?

・最新・世界水準のデータ(エビデンス)が教える、誤解だらけの血圧をめぐる真実
・「正常値」に科学的根拠はなかった
・医者と製薬会社の癒着が、薬の過剰投与を生んでいる
・薬なしでも健康で長生きするための、食生活と運動のアドバイス


目次
理由その1 血圧が上がるには深いわけがある
理由その2 血圧の正常値には科学的根拠がない
理由その3 血圧の薬で寿命は延びない
理由その4 薬のデータが改ざん、ねつ造、隠ぺいされている
理由その5 医師が製薬会社に踊らされている
理由その6 血圧は食事を改善すれば下げられる
理由その7 血圧は運動で下げることができる
エピローグ


著者プロフィール
岡田 正彦(おかだ・まさひこ)
新潟大学名誉教授。医学博士。専門は予防医学、長寿科学。
1946年京都府に生まれる。新潟大学医学部卒業。1990年より同大学医学部教授。米国学会誌IEEE Transactions on Biomedical Engineering共同編集長、学会誌『生体医工学』編集長などを務める。
1981年新潟日報文化賞、2001年臨床病理学研究振興基金「小酒井望賞」受賞。
著書『人はなぜ太るのか』(岩波新書)、『ほどほど養生訓』『放射能と健康被害 20のエビデンス』(日本評論社)、『がん健診の大罪』(新潮社)ほか多数。

 


はじめに
筆者は、長年にわたり、大学で血圧と動脈硬化症との関係を研究してきました。成果のひとつは、健康診断でもおなじみの「悪玉コレステロール検査法」を世界で最初に開発し、特許をえたことです。
残念ながら、当時は国立大学に勤務していて身分が国家公務員だったため、法律上、特許の利益を個人で受けとることができませんでした。そんな理不尽な規則さえなければ、いまごろは「左うちわで……」となっていたかもしれません。
必然的に血圧の薬にも関心が向かっていきました。国内にはまともな学術論文がまだなかった時代で、海外の論文を精読することから調査を開始したのですが、いまから30年以上も昔に発表されたある論文に、いきなり大きな衝撃を受けてしまいました。そこには、血圧の薬を5年間飲み続けても、寿命が延びるほどの効果は認められなかったと書いてあったからです。
ひとつの論文だけで真偽を決めつけるわけにはいきませんので、その後も現在にいたるまで、血圧の問題をテーマにした、無数とも言える論文を精査してきました。中には杜撰な論文もあれば、段取りの完璧さに思わず拍手喝采したくなるようなものまでさまざまです。幸い、最近は正しい結論を導きだすための研究上の約束事が国際的に確立し、杜撰かどうかをある程度判別できるようになりました。

薬に限らず、約束事を守ってえられた正しい調査データは、「エビデンス」と呼ばれます。本書は、血圧に関する最新のエビデンスに基づいた内容となっています。
ただし、十分なデータがまだそろっていないテーマもあります。たとえば日本は世界に先駆けて超高齢化社会を迎えたわけですが、超高齢者の血圧をどう考えればよいのかについて十分なエビデンスはまだありません。
筆者は大学を退職したあと、いま高齢者施設に勤務しています。患者さんとともに年齢を重ねながら人生の終末までを見届けつつ、超高齢者における血圧の意味について日々、自問自答を重ねているところです。エビデンスの不十分なところは、そんな筆者の体験で補うことにしました。

 
世の中には健康情報が溢れかえっていて、どれを信ずればいいのかわからないという声をよく聞きます。
先日、患者さんからこんな話を聞きました。ベストセラーとなったある本に、「首を揉むと血圧が下がると書いてあったので、毎日実践しています」というのです。この話を聞いて思わず背筋が寒くなりました。なぜなら、首の血管には脳への血流をコントロールするための血圧センサーがあり、そこを強く圧迫すると急激に血圧が下がり、失神してしまうことがあるからです。
命にかかわるかもしれないような方法が市販本に書いてあったとしたら、きわめて罪深いと言わざるをえません。ふくらはぎを揉むという方法も、理由は異なりますが同罪と言えるでしょう。
健康本の内容が、信じるに足るものかどうかは、エビデンスがいっしょに示されているかどうかで判断することができます。
以前、ある本を執筆した折、「難しそうな論文の名前をいくらあげても読者が読むわけではないから」との出版社の方針で、参考文献をすべて省略してしまったことがあります。案の定、出版後、この著者は根拠もなく、いい加減なことを書いているとSNS上で酷評されてしまいました。
本書では、わりやすさを優先し、細かすぎるデータはあえて省略しました。その代わり、根拠となる文献のリストを巻末に載せましたので、信頼性の証として眺めていただければと思います。
 
以下、「血圧の薬はやめてもよいか?」という問いに答えるためのエビデンスを7つ、順に述べていきますが、まず血圧とは何か、なぜ上がる必要があるのかについて考えます。次いで、正常値の問題点、年をとるとなぜ血圧は上がるのかなどについて話を進めていきます。
いま新薬が次々と発売され、それぞれが大ベストセラーとなり、病院で受ける処方箋もほぼ新薬となっています。しかし新薬発売の影には、世界の医療界を牛耳る巨大製薬会社(ビッグ・ファーマ)の暗躍があります。
そこで本書の中盤では、週刊誌がまだ取り上げていないスキャンダラスな話題を紹介しつつ、薬の信頼性を根底から覆す実態についてまとめました。血圧問題の核心ともいえる真相を知ったあなたは、薬を口にすることができなくなるかもしれません。
最後の2つの章では、薬に頼らずに血圧を上げない方法、または改善する方法が存在することを述べています。
本書が、健康長寿への正しい道しるべとなれば幸いです。