著者:蓮池 透、和田春樹、
菅沼光弘、青木 理、東海林勤
ISBN:978-4-86228-044-2 C1031
定価:1,500円+税 232ページ
ジャンル[国際関係・北朝鮮問題]
発売日:2010年9月24日
紹介
日本と北朝鮮との拉致問題交渉が断絶して数年がたつ。
日本政府は、交渉は「拉致被害者全員が生きていることを前提にする」という立場で、経済制裁など圧力を強化してゆけば北朝鮮が折れてくるという見通しに立っていたが、いっこうに進展の気配がみえない。その間、北朝鮮による核実験の強行など、アジアの緊張が高まっている。
本書は、世論に迎合してデッドロックに乗り上げたこれまでの日本政府の政策を批判し、前提条件なしにまず交渉すること、日朝国交正常化を目ざすこと、それのみが拉致問題解決や緊張緩和に資することを冷静に分析し提言する。
●現政権も強硬路線を踏襲しましたが、こういうやり方が一番困る。家族の顔色見て「あなた方のいっていることをやっているのだから、いいだろう」、そういうエキスキューズにする。(蓮池透)
●一番近くにある隣国で、深刻な問題があり、深刻な関係にある北朝鮮とは、外交関係がなく、交渉ができないというのはもっとも馬鹿げており、危険だとしかいいようがない。(和田春樹)
目次
まえがき 〔和田春樹〕
Ⅰ 拉致問題を考える──家族の視点から 〔蓮池 透〕
はじめに
1 弟たちの拉致について
2 家族の気持ち
3 二〇〇二年九月一七日以後
4 日朝間の約束違反
5 行き詰まりの中で考えるべきこと
6 政府に望むこと
7 私の願うこと
Ⅱ 横田家三代女性たちの気持ち 〔和田春樹〕
1 娘 横田めぐみ
2 孫娘 キム・ウンギョン
3 母 横田早紀江
Ⅲ 〔資料〕横田めぐみさんとその家族を描いた二つの作品
1 映画「めぐみ──引き裂かれた家族の30年」
2 報道特別ドラマSP「再会──横田めぐみさんの願い」(日本テレビ)
Ⅳ キリスト者として拉致問題を問う 〔東海林 勤〕
1 ヨブ記を学びながら考える
2 「横田姉を囲む祈り会」から考えたこと
3 早紀江さんの「使命」
Ⅴ 拉致問題と日本国家の立場 〔菅沼光弘〕
1 これまでの考え方は誤っている
2 拉致問題とはいかなる問題か
3 拉致問題の解決とは
4 日朝国交正常化の努力とアメリカの立場
5 朝鮮市場をめぐる国際戦
6 いまのままではだめ
〔質疑応答〕
Ⅵ マスメディアと拉致問題、家族会 〔和田春樹〕
1 マスメディアの拉致問題・家族会報道
2 金賢姫訪日招請騒動の報道ぶり
3 「横田めぐみさんは死んでいる」という見出しの衝撃
4 田原発言の波紋
5 「王様は裸だ」という少年は現われるのか
Ⅶ 拉致問題対策本部の四年間 〔青木 理〕
1 拉致問題対策本部の誕生
2 対策本部を牽引した漆間巌氏
3 麻生政権期の拉致問題対策本部
4 拉致問題対策本部の広報活動
5 民主党政権下の拉致対策本部
Ⅷ 拉致問題と日朝国交正常化 〔和田春樹〕
1 拉致問題に拉致された日本
2 政治的につくられた状況
3 北朝鮮の側の態度
4 拉致問題の正常化
5 交渉するためには国交正常化するしかない
著者プロフィール
蓮池 透(はすいけ・とおる)
「拉致被害者家族会」元事務局長
和田春樹(わだ・はるき)
東大名誉教授
菅沼光弘(すがぬま・みつひろ)
元公安調査庁調査第2部長
青木 理(あおき・おさむ)
元共同通信記者、現フリーランス
東海林 勤(しょうじ・つとむ)
稲城教会牧師、平和運動家