今夜も赤ちょうちん

      
   

著者 鈴木琢磨

  • 2009年6月27日発売
  • 変B6判、並製、256ページ
  • 定価 1,500円+税
  • ジャンル[エッセイ・文芸]
  • ISBNコード 978-4-86228-031-2 C0095

「とてつもなく美しい」日本、ここにあり

酒と人間を愛する新聞記者が、自らも呑んで、食べて、しゃべって、酔眼を通して見た赤ちょうちん――

毎日新聞夕刊の同名の人気コラム「今夜も赤ちょうちん」より厳選79話を収録。100年に一度の経済危機下でも、赤ちょうちん族にはチエがある。日本の居酒屋は、きりないほどの不平不満も、笑いも、悲哀も、スポンジのように吸い込んでくれるコミュニティー。
四季折々こだわりの肴に、人気者のおかみさん、居合わせたお客さんたちも個性豊かに彩りを添えて、リアルな市井の人間ドラマを繰り広げている。

吉行淳之介、都はるみ、団鬼六……呑んべえインタビューも掲載

目次

第1夜【門前仲町】モツ煮込みの至福
第2夜【十条】ポテサラの山、崩しながら
第3夜【歌舞伎町】ソクラテスの鳥皮
呑んべえ列伝① 暉峻康隆さん(国文学者)
第4夜【渋谷南口】「駄菓子屋」でハムカツ
第5夜【赤羽】荷風気取って、鯉に酔い
第6夜【西武・中井駅】ぷりぷりホヤ酢にシェー
呑んべえ列伝② 都はるみさん(歌手)
第7夜【自由が丘】酒学校で赤心のおから
第8夜【神保町】うちわパタパタ、炒豆腐
第9夜【大塚】さっとあぶって粋にクサヤ
呑んべえ列伝③ 田村隆一さん(詩人)
第10夜【歌舞伎町】そびえる「オールグリーン」
第11夜【銀座】モテモテはトマビだった
呑んべえ列伝④ 吉行淳之介さん(作家)
第12夜【新橋】たぬき豆腐、バッチグ
第13夜【三鷹駅北口】とろっと、健さんのモツ焼き
第14夜【吉祥寺】別れの焼き鳥
呑んべえ列伝⑤ 永沢光雄さん(フリーライター)
第15夜【恵比寿】うまみそのまま〆サバ
第16夜【王寺駅北口】ふふふ。大道さんと銀だら
第17夜【目白】超穴場、ハクサイでちびり
第18夜【新川】ブンヤの哀歓、京風牛皿
第19夜【三ノ輪】平さん、最後のいも天
呑んべえ列伝⑥ 吉村平吉さん(元祖風俗ライター)
第20夜【神戸・元町】街を癒した湯豆腐
第21夜【京都・先斗町】迷わず「ぴりっ」と大名だき
第22夜【鴬谷】オカンのぽかぽか「天くし」
第23夜【早稲田】学生街の懐かしオムライス
第24夜【桜木町】「三杯屋」のタラ豆腐
呑んべえ列伝⑦ 司馬遼太郎さん(作家)
第25夜【浅草橋】生レバーにニンニクみそ
第26夜【阿佐ヶ谷】井伏鱒二と焼きポテサラ
第27夜【高田馬場】美味し国の手こねずし
第28夜【銀座七丁目】夏彦翁と焼きビーフン
呑んべえ列伝⑧ 山本夏彦さん(辛口コラムニスト)
第29夜【京都・西陣】母思い、グジの塩焼き
第30夜【中野】サトウハチローの玉手箱
第31夜【京都・高瀬川】天然ものでいい雲古
第32夜【葛飾柴又】「レッド春」で寅さん思う
第33夜【ゴールデン街】バーボンで浸る阿久悠
第34夜【渋谷駅南口】初サンマと昭和の歌声
呑んべえ列伝⑨ サイデンステッカーさん(日本文学研究者)
第35夜【湯島】「美しい国」しみじみと
第36夜【荻窪】不易の酒場に看板娘
第37夜【木場】詩人と聖地でホッピー
第38夜【東大前】人生はおでんの如し
第39夜【大久保】ディープ新宿の神楽坂
第40夜【大阪・道頓堀】食い倒れ、ケチやおまへん
第41夜【神楽坂】グッバイちょんまげ俳人
第42夜【祖師ケ谷大蔵】キーヨと赤みそどて煮
第43夜【大阪・谷町】時鐘さんのスープ
第44夜【高田馬場】燗あがりにみそシチュー
第45夜【番外編】ソウル七〇~八〇年代の熱気求め、ほろ酔いの旅
第46夜【日本橋】フナ寿しで「三方よし」
第47夜【大阪・九条】「泥の河」的世界で「温酒」
第48夜【千束】路地裏記者とシューマイ
第49夜【大山】続けてます、補身湯
第50夜【虎ノ門】霞が関の「出世酒場」
第51夜【荻窪】江戸の暗闇で茶わん酒
第52夜【番外編】“愉快に優雅に”、夢の八時間半
――寝台急行「銀河」さよなら乗車記
第53夜【神保町】 俳句つまみにもう一杯
第54夜【新宿花園神社】最後の「記者魂」抱えて
呑んべえ列伝⑩ 団 鬼六さん(作家)
第55夜【新橋】壁一面の「角」に酔う
第56夜【京橋二丁目】叶姉妹が焼き鳥屋?
第57夜【新宿駅東口】七〇年代の余熱、消さないで
第58夜【東大阪】ディープな参鶏湯
第59夜【大阪・鶴橋】エイ肝とろり、陶然
第60夜【神楽坂】秘密基地の伝声管
第61夜【人形町】天国のチャコちゃんへ
呑んべえ列伝⑪ 佐々木久子さん(随筆家)
第62夜【都立家政】キャプテンと酒場浴
第63夜【門前仲町】あかね空の送別会
第64夜【高円寺】純情裏通りに銀座の味
第65夜【歌舞伎町】「美しい冒険」のネコごはん
呑んべえ列伝⑫ 福富太郎さん(キャバレー経営者)
第66夜【渋谷】雨の夜のお月さん
第67夜【日本橋浜町】夢に出てくるつくね
第68夜【浅草】愛すべきガタピシ
第69夜【荻窪】磁力の中心に鳥刺しあり
第70夜【荻窪】「遠ちゃん」しみじみ燗酒
第71夜【東十条】 モツ焼きロックンロール
第72夜【竹橋】インキの香りであおり酒
第73夜【武蔵小山】ホルモンヌとタケさん
第74夜【四条河原町】シンプル茶漬けに人生考察
第75夜【四ツ木】おもろいなあ、コの字巡礼
第76夜【神楽坂】げそ天つまみ「おんな坂」
第77夜【芝浦】オモニのバラック酒場
第78夜【高田馬場】「神田川」をもう一度
呑んべえ列伝⑬ 喜多條忠さん(作詞家・小説家)
最終夜【月島】右も左も酔い泣きして
あとがきに代えて 政治家さん、赤ちょうちんへ急げ

  著作者について

鈴木琢磨

鈴木琢磨(すずき・たくま)
1959年滋賀県大津市生まれ。毎日新聞夕刊編集部編集委員。大阪外国語大学朝鮮語学科を卒業後、毎日新聞社に入社。。
いまや絶滅した「探訪記者」の生き残り。朝鮮問題にこだわり、『サンデー毎日』時代から北朝鮮報道に携わる。高英姫の偶像化キャンペーンを世界に先駆けてスクープした。TBS系『みのもんたの朝ズバッ!』などテレビのコメンテーターも務める。時間があれば、70~80年代の韓国歌謡を聴く。
著書に『テポドンを抱いた金正日』(文春新書)、『金正日と高英姫』(イースト・プレス)、佐藤優氏との共著に『情報力』(イースト・プレス)がある

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