資本主義はどこまで暴走するのか

  

著者 森永卓郎 + 吉田 司

  • 2008年11月28日発売
  • 46判、並製、247ページ
  • 定価 1,500円+税
  • ジャンル[社会問題・経済]
  • ISBNコード 978-4-86228-027-5

森永・吉田二人組の「反転攻勢」宣言書

吉田「金銭フェチに陥った海賊の末裔たちのヤクザ資本主義は『人間の希望』の破壊です」
   「われわれはいま、1920年代に生きているという認識をもつ必要があるのではないか。
    こうした歴史感覚をもっていまを考えると、やっぱり平和や共同体的価値を大事にしよ
    うね、といった空気が生まれるのではないか」

森永「金の亡者、新自由主義者を全部山手線の内側に住まわせて、隔離する。一般庶民に
    感染させないようにするのが、日本にとっていちばんいい国造りだとまじめに考えています」
   「私たちにとっての雌伏の時代は終わった。これからは反転攻勢だ。この本はその反撃の
    のろしなのだ」

目次

はじめに ――――吉田司

第1部 森永・吉田対談

I 資本主義の大変動が起きている
    いまや何も作っていないアメリカ
    サブプライムローンは闇金融と同じ仕組み
    いまや海賊資本主義
    「弱肉強食」経済の原型
    人類史上、もっとも成功した社会主義
    バブル崩壊は日米の暗黙の協業

Ⅱ 無抵抗だった日本人
    新自由主義の日本人協力者
    恋愛格差の拡大
    団塊世代の集団主義が歪みを育てた
    下層の絶望感の向かうところ
    パチンコ型社会
    ヤクザ資本主義の経済界
    世界的な階級分裂

Ⅲ 資本主義はどこまで暴走するのか
    白人の不動産価格下落が分かれ目  
    ファンド資本の過剰流動性という妖怪
    中国の農民反乱にアジアの未来を求めたい(笑)
    ハチャメチャな自由放任主義
    行きつく先は荘園領主と奴隷
    小泉改革に対する反省がない
    破滅によってしか暴走は止まらない?
    外資がなくてもやっていける?
    格差から戦争へという戦前と同じサイクル
    われわれは一九二〇年代に生きている 

Ⅳ 新自由主義に対抗する道
     南ヨーロッパ型の社会民主主義で生き残る
     おたくカルチャーを主力産業に
     中央線沿いの無数の反乱
     オタクはアンチ新自由主義的人間像
     真面目にコツコツやる人間が軽視される危機
     アダム・スミスが新しい
     新自由主義の〈時間泥棒〉
     新自由主義の魔法から抜け出られるか

第2部 対談をおえて

Ⅴ 日本人の手にもう一度〈未来〉を ――――吉田司
     森永さんの絶対反戦のルーツ
     日本人の前にある三つの道
     挫折した日本人の道
     なぜ最悪のプア社会を選択したのか
     三〇年代から八〇年代までの連続性
     バブル崩壊〈陰謀説〉は正しい?
     三つの「破滅への道」
     日本型資本主義は対抗原理
     格差社会は一九二〇年代ニッポン

Ⅵ 私たちが犯した失敗 ――――森永卓郎
    「努力が報われる」時代だった
     経営者の甘い期待
     体制批判を続ける批評家の激減
     これからは私たちの時代だ

著作者について

森永卓郎

経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。
1957年東京都生まれ。東京大学経済学部卒。
日本専売公社、経済企画庁総合計画局(出向)、三和総合研究所(現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)などを経る。
著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社) 『日銀不況』(東洋経済新報社)
『構造改革の時代をどう生きるか』(日経BP) 『モテなくても人生は愉しい』(PHP研究所)
『教育格差の真実』(尾木直樹との共著、小学館101新書)ほか

吉田 司

ノンフィクション作家。
1945年山形県生まれ。早稲田大学中退。
著書『下下戦記』(大宅壮一ノンフィクション賞受賞、文春文庫)
『王道楽土の戦争』(戦前・戦中篇、戦後60年篇、NHKブックス)
『新宗教の精神構造』(角川書店)『宮澤賢治殺人事件』(文春文庫)
『増補新版 ひめゆり忠臣蔵』(太田出版)『そして、憲法九条は』(姜尚中との共著、晶文社)