遺伝子には何ができないか

著者:レニー・モス

書評

専門家でさえ、遺伝子を誤用していると本書は批判する。ひとつは、白い花、青い目、○○症、といった表象を決定するかのように言われる遺伝子。しかしそれらは遺伝子の存在によってではなく、欠損の帰結として生じる。しかも欠損は表象に直結せず、複雑な過程に左右される。・・・一方、タンパク質の規格を示すDNA配列としての遺伝子という言い方がある。二つの意味は時につぎはぎされ、時に混用される。議論はドーキンス批判にも及ぶ。難解ながら大変刺激的な論争の企てである。

福岡伸一(分子生物学者)「読売新聞」08年5月4日

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