日本経済 見捨てられる私たち

著者:山家悠紀夫

書評

1990年代以降の経済社会における「常識」を、平易な文章と豊富な統計データのもとに検証し、単なる神話にすぎないことを解き明かしていく。・・・メッセージはいずれも正当である。ただ、このメッセージに応える有力政党が存在していない。そこに評者も含めて暗澹たる思いにかられるのである。

新藤宗幸(千葉大学教授)「週刊エコノミスト」08年4月15日

構造改革の本質は「企業の儲かる仕掛けづくり」だと著者は喝破する。・・・しかも、企業が儲かるようになった裏側で、一般家庭の所得が減り、格差も拡大した結果、国民生活は着実に困窮していった。だから著者は「構造改革の考え方は間違っていた」とはっきり述べているのだ。・・・そうした構造改革不況から脱出する方法についても著者は詳しく触れている。その説明も、分かりやすく、強い説得力がある。

森永卓郎(エコノミスト)「週刊ポスト」08年3月

いまのニッポンはこうなっている―とわかり易く答えてくれる本を見つけたぜ。「グローバル化・構造改革・小さな政府」という日本経済の三つの神話を解体し、いまのわれらのビンボーが「自己責任」の問題などではないことをキチンと説明している。読めば、チョット元気の出る本だ。

吉田 司(ノンフィクション作家)、「中日新聞」08年2月20日

構造改革とは「企業がもうかる経済構造への改革」だった。今後も、財政再建の旗印の下で「小さな政府」を目指す政策や消費税増税の追い打ちがかかり、暮らしは一段と厳しさを増す―。こうしたシビアな現状分析の末に、労働環境の整備や社会保障制度の再構築など「今とは違う日本の未来」に向けた政策を明快に提言。

「愛媛新聞」08年2月17日

私たちの暮らしが厳しくなったのは「グローバル化」のためというよりも、「構造改革」政策とその影響の方が大きいと著者は見る。

「週刊金曜日」編集部が選ぶ3冊、08年3月28日

本書は景気悪化、物価高騰などで生活不安に脅かされているおおくの国民にぜひ読んでもらいたい好著です。・・・日本経済の本当の姿を知るうえで優れた本です。

今宮謙二(中央大学名誉教授)、「しんぶん赤旗」08年3月16日

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日本経済 見捨てられる私たち 青灯社ブックス1