日本人はどこまでバカになるのか

   「PISA型学力」低下

日本人はどこまでバカになるのか

著者 尾木直樹

  • 2008年4月5日発売
  • B6変 上製、239ページ
  • 定価 1,500円+税
  • ジャンル[教育]
  • ISBN978-4-86228-021-3 C1037

日本人の頭脳が劣化していく

国際調査で日本人15歳の学力がさらに低下していることが判明した。生きる力、日常生活の課題にどれだけ知識や技能を活用できるか調べるもので、日本の詰めこみ型受験学力は役立たない。
一方、フィンランドはこの活用力を育てる、ゆとりある大胆な教育改革を行い、いまや総合でトップ、経済の国際競争力もトップランクに躍り出た。
現場の豊富な体験をふまえた教育論の第一人者が、発想転換のできない文科省の新学習指導要領や全国一斉学力テスト等を、フィンランドの例や自らの教育実践・思想をもとに鋭く批判し、国際社会に取り残されない、生きる力を育てる教育改革や家庭での子育てのあり方を提言する。

目次

  まえがき
Ⅰ これでは学力は本当に低下する
  ――PISA調査結果からわかること
  はじめに
1 どんな学力がどう低下しているのか
2 PISA調査結果報告にみる、学力に関する誤解
3 PISA調査から分かった、日本の学力観の問題点
4 保護者の期待と学力政策、学校現場の実態のズレ
  
Ⅱ 「学力低下」への道、全国一斉学力テスト
  ――テストによる競争依存症の弊害
  はじめに
1 第一回「全国一斉学力テスト」の結果分析
2 「全国一斉学力テスト」――実施の経緯と背景
3 全数調査によるテスト競争
4 「全国一斉学力テスト」――今後の心配と危険性
    
Ⅲ フィンランドの教育と日本
  はじめに
1 教育にかけるフィンランドの基本的教育制度
2 「人生のための学校」という理念
3 一人を大切にし、本気で学力と進路を保障
4 競争も通知表も廃止
5 「社会のロウソク」としての教師
  
Ⅳ 学力問題六つの謎とその回答
  はじめに
1 「2011年度新学習指導要領」で、学力は上がるの?
2 教える内容の増大と難問化で学力は上がるの
3 習熟度別授業で学力は上がるの?
4 競争すると学力は上がるの?
5 小学校の「英語活動」で英語が話せる?
6 塾講師でないと「できる子」を伸ばせないのか

終 学力再生への構想
  はじめに
1 学力獲得に関する質を転換せよ
2 家族共同体の歴史的復活を

著作者について

尾木直樹

現在、教育評論家、臨床教育研究所「虹」所長、法政大学キャリアデザイン学部教授、早稲田大学大学院客員教授。1947年、滋賀県に生まれる。早稲田大学教育学部卒業後、海城高校、東京都公立中学校教師を経る。
著書:『学校は再生できるか』(NHKブックス)『思春期の危機をどう見るか』『子どもの危機をどう見るか』(以上、岩波新書)『新・学歴社会がはじまる』(青灯社)『教師格差』(角川書店)他。

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