入門・哲学者シリーズ4 ハイデガー
すべてのものに贈られること:存在論
現実感の喪失を埋め合わせる哲学をハイデガーに求めた世紀末の青年たち。わたしの居場所を見出すこと、存在することとはどういうことかを考える。
目次
- 存在の頼りなさ--まえがき
- 第一章 存在への問い
- 伝統的ヨーロッパ哲学における「本質」と「存在」
- 「本質」「偶有性」
- 「存在」
- ハイデガーの問い
- 「ある」とはどういうことか
- 存在の意味」への問い
- 伝統的ヨーロッパ哲学における「本質」と「存在」
- 第二章 非本来性:日常において見失われる自分
- 「現存在」
- 「道具連関」
- 「世界」
- デカルト主義の大略
- ハイデガーのデカルト批判
- 「世界-内-存在」のあり方
- 道具連関の最終目的
- 「ひと」:現存在の交換可能性
- 「現存在」
- 第三章 本来性:自分の完全なあり方
- 現存在の「かけがえのなさ」
- 現存在の交換不可能性
- 死へ向かう存在
- 現存在の全体性
- 死の忘却
- 死の忘却メカニズム
- 死をめぐるヨーロッパ哲学
- 現存在の本来性
- 日常からの脱却:良心
- 現存在の時間:非本来性
- 本来性における過去:被投性
- 現存在の将来:企投性
- 現存在の現在
- キルケゴールの実存思想
- 無をまえにした不安
- 実存主義と存在への問い
- サルトルの実存主義
- サルトルとハイデガー
- 現存在の「かけがえのなさ」
- 第四章 転回以後:存在の隠蔽
- 物、道具、芸術作品
- 認識活動と物
- デカルト批判再び
- 芸術作品へ
- 世界と大地
- 開示・現前と隠蔽・非現前の相互貫通
- 存在の真理
- 存在に聴き従うこと
- デカルトと人間中心主義
- 存在の贈与
- おわりに
- 物、道具、芸術作品
(「あとがき」より)
存在の頼りなさ
ハイデガーが言うように薔薇の花は、その理由とも証拠とも無関係に咲いている。それどころか、われわれ自身の存在にもまた理由や証拠は必要ない。それでは存在とはいったいどういうことなのか、それを明らかにしようとしたのがハイデガーの生涯だった。
著作者について
貫 成人
現在、専修大学文学部教授
1956年、神奈川県に生まれる。
1985年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。
現象学をはじめとする現代哲学、歴史理論、舞踊美学を研究。
著書に『図解雑学 哲学』(ナツメ社)、『哲学マップ』(ちくま新書)、『哲学ワンダーランド』(PHP)、『経験の構造:フッサール現象学の新しい全体像』(勁草書房)がある。