北朝鮮 「偉大な愛」の幻 (下)
おれが死ぬなら、お前も死ぬ
著者がインタビューした北朝鮮元政府高官や軍人を含む数多くの証言。
「妻に密告された」「やはり金日成には感動します」「軍人は金正日に従うのを嫌がっています」「経済制裁は大打撃にはならない」「同僚兵士はみな戦争を願っています。経済状況があまりに厳しいので、なにか変わってほしいというのも理由の一つです」「ディスコ音楽を知って人々は尻を振って踊りはじめた」「アメリカが体制を脅かさないことを保証してやることがとても重要です」
関係者や亡命者の証言を吟味し、ぼう大な資史料を分析して、北朝鮮の現状と未来、日米の今後の対応のあり方について貴重なヒントを与える傑出したノンフィクション。
下巻目次
- 疲弊しきった国民――北朝鮮再訪(一)
- 猛スピードの建造――北朝鮮再訪(二)
- 「新しき人」――思想教育はどこまで有効か
- シベリア伐採場――祖国への見方が変わる
- その身にふりかかった不運――亡命者、朴秀賢の証言
- 北朝鮮の怯え――第一次核危機
- おれが死ぬなら、お前も死ぬ――亡命者、金正敏の証言
- 母国に円を送る――ある在日朝鮮人
- 誘惑の風が吹いても――北朝鮮再々訪(1992年)
- 火の海――第二次核危機
- あなたなくして国はない――指導権の世襲
- 弾丸となり、爆弾となり――兵士と闘争精神
- クーデター未遂事件――頻繁に起きる反体制活動
- 苦難の行軍のとき――飢餓
- ぜいたく三昧に暮らす売国奴も――企業家、交易者
- 収容所の真実――体制の敵を待つ
- 北朝鮮版、朴正き――経済改革の模索(二〇〇〇年)
- 先軍政治――社会主義から民族主義へ
- 後継者問題――息子にできなければ孫に
- エピローグ 平壌二〇〇五年十月
- 注
- 謝辞
- 索引
- アメリカで絶賛された本――高山秀子
著作者について
ブラッドレー・マーティン Bradley K.Martin
1942年生まれ。ジャーナリストとして朝鮮半島や他のアジア地域を四半世紀以上、カバーする。「バルティモア・サン」,「アジアン・ウォールストリート・ジャーナル」,「ニューズウィーク」,「アジア・タイムズ」の記者を経る。現在は「ブルームバーグ・ニュース」の東京駐在特派員。本書の英語版は13年をかけて書かれ、米国内外で大きな反響をよぶ。
朝倉和子(あさくら・かずこ)
翻訳家、バー・ピアニスト。筑波大学付属高校卒業、東京都立大学人文学部史学科中退。訳書に『華人の歴史』(リン・バン著)『香港の起源2』(ティモシー・モー著、以上みすず書房)『CIA株式会社』(フレッド・ラストマン著、毎日新聞社)『チャイニーズ・ジレンマ』(イエリンシェン著、明石書房)他