自閉症の君は世界一の息子だ

自閉症の君は世界一の息子だ

著者 ポール・コリンズ(作家)

訳者 中尾真理

  • 2007年1月23日発売
  • 四六判・上製 368ページ
  • 定価 2,400円+税
  • ジャンル[障害者教育・心理]
  • ISBNコード 978-4-86228-010-7 C0037

自閉症者は人類を超えた人類

わが子モーガンは、文字が読める、数も数えられる。二歳児にしては異例の早さだ。しかし、呼びかけても反応しない、どうしても言葉を返してこない。障害児かもしれない、と医者にいわれて突然、すべてが違ってみえる。

いったい自閉症とは何か。ロンドンの宮廷に招かれた野生児ピーターの足跡を調べ、高名な専門医を訪ね、自閉症の芸術家や天才科学者の存在を知る。自閉症を知ることは、人間とは何かその本質を知ることだった。

言葉を育む悪戦苦闘の日々。ある日、子どもは初めて“パパ!”と父親によびかける。これは悲劇ではない、これがぼくの家族なのだ――。自分に言い聞かせ、自分も成長していく感動の手記。

目次

  • 第一部 野生児(ワイルド・ボーイ)
    1. 思いがけない医者の言葉――突然すべてが違って見える
    2. ロンドンの野生児――モーガンはシャワーを浴びる
    3. 野生児ピーターは何者か――デフォー、リンネの調査
    4. 診断結果を脇に押しやる――二人の沈黙した少年
  • 第二部 空から落っこちて
    1. 厳寒のウィーンで自閉症児を追う――シカゴ大学の偽心理学者
    2. モーガンの言葉の箱――癇癪をおこすには理由がある
    3. 間違ってさえいない――深い集中を必要とする科学、芸術、数学
    4. モーガン、文字と対話する――特別クラスの思い出
  • 第三部 親愛なるクロモフォン
    1. バーブの教室――PECSを特訓する
    2. 香りの音階――自閉症児の脳のしくみ
    3. あの子には歌の調子がわかるんだ――モーガン、ピアノを弾き、歌い、メカニズムを研究する
    4. 仲良しビッグ・バードと別れる――ロボットは自閉症児の親友になれるか
  • 第四部 数を頼む
    1. モーガン、バスに乗る――ぼくが心配しない日は一日もない
    2. 二匹の迷い犬――サンガー刑務所の介助犬養成プログラム
    3. モーガン、言葉を使い始める――スーパーで飲み物を捜す
    4. アートの天才たち――孤独な男の天気測定
    5. 息子と初めて会話する――これがぼくの家族だ

著作者について

ポール・コリンズ Paul Collins

アメリカの作家。19世紀アメリカ文学を研究。古書蒐集家。ニューヨーク市民大学などで講師をつとめ、マックスィーニー書店で「コリンズ・ライブラリー」を編集。『ニューサイエンティスト』『ヴィレッジボイス』などで執筆活動をしている。著書にアメリカでベストセラーになった『古書の聖地』(晶文社)、ほかにBanvard’s Folly:Thirteen Tales of People Who Didn’t Change the World.

中尾真理(なかお・まり)

奈良大学教養部助教授。専攻は英文学、とくにジェイン・オースティン、ジェイムズ・ジョイス。著書『イギリス流園芸入門』(晶文社)『英国式庭園―自然は直線を好まない』(講談社選書メチエ)『ジェイン・オースティン―小説家の誕生』(英宝社)ほか。訳書『ジェイン・オースティン料理読本』(マギー・ブラック、ディアドレ・ル・フェイ、晶文社)ほか。

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