「二重言語国家・日本」の歴史
日本の精神のかたちを読む
日本語は、漢語と和語からなる二重言語。政治や思想の言葉・漢語の大陸からの流入と、それに対応する性や自然の言葉・和語の成立、両者の並存、融合、分離の歴史ドラマは「書」に表現されている。書がどのように書かれてきたのか、その表現技術と筆致の心理から、中国への異和、日本固有の美学の成立、大和ごころの幻視、中国の再認識等、時代精神の変遷を解明していく。書字論の鬼才が、無文字の段階から近代に至るまで、「二重言語」の視点で鮮やかに読み解く日本文化論。
目次
- 言葉と文字~日本史の見方・考え方
- 無文字縄文時代~表現の混沌性
- 秦の始皇帝がつくった弥生時代
- 擬似中国時代~白村江の敗戦と日本の独立
- 文化的中国化と万葉仮名の成立
- 古今和歌集と女手 日本語の成立
- 女手・日本古典時代の完成~日本文化の成立
- 分かち書きの誕生と藤原俊成・定家
- 文官と武官と神祇官~世界史の誕生は何をもたらしたか
- 西洋文明の影響と寛永の三筆と流儀書道~万世一系の書道
- 儒学と国学 唐様と和様
- 漢語・和語・西欧語と近代
著作者について
石川九楊:京都精華大学教授
「一日一書」(二玄社)、「日本語の手ざわり」(新潮選書)、「二重言語国家・日本」(NHKブックス)、「中国書史」(京都大学学術出版会)、「日本書史」(名古屋大学出版局・毎日出版文化賞)、「書の終焉」(同朋舎出版・サントリー学芸賞)など著書多数。